夏真っ盛り、家にいる長男をつかまえてどこに行きたい?と尋ねてみると、魚釣りをしたい!と即返答。

車に乗り込み二時間ほど走ったところにある背の高い山々の谷あいに差し掛かったころ、目の前の景色がスゥーと開けていくではないですか。

キラキラと光る水面に子供の表情もキラキラ、早速車を停めてカヤックを二台降ろし水辺に向かいます。おや、先に来ている人がいますね。こんにちは、釣れてますか?と声をかけると意外な答えが。

「釣りじゃないんです、駆除に来てるんです。」

魚を駆除?何のことかわからず尋ねてみると、昨今新聞等を騒がしているブラックバスがこの美しい池にも居て、それを捕まえて殺処分するんだと息巻いておられます。年齢は50才ほどの男性、その人が私の横に立っている長男に向かって、

「キミもブラックバス釣ったら協力してね。」

一切返事をしない長男の様子を見て再度、

「協力して殺してね。」

それだけ言うと足早に我々の前から去っていった男性。その後ろ姿をじっと見つめている長男にどうしたの?と声をかけてみました。しばらくは黙っていましたがひと言、かわいそうだね、と。

果たして長男は何に対してかわいそうと感じたのでしょう。無作為に殺されていくブラックバスに対してでしょうか。

新聞等では生態系を乱している張本人とやり玉にあげられているブラックバスですが、実は釣りをしていると、さほど食性が荒っぽくないことに気づかされます。エビや小魚を手当たり次第食べ尽くしてしまうと、自らの食べ物が無くなってしまうわけで、野生動物はそこまでおろかではありません。

またニッポンの既存の生態系には、ブラックバスがやってくる前から外来生物てんこ盛りでした。タナゴも鯉も実は外来、ワカサギも持ち込まれたものです。となると、本当に生態系を壊しているのは我々人間ということになり、その事実を長男は以前から詳しく知っていました。

だからこそ池で出会った大人の、大人気ない言動にかわいそうだと言ったのかな?いや、本当はどうであるかを自らの目や耳で学ぼうとせず放棄している現状を、憂いたのかな?

いやいや、そういう大人の判断で絶たれていく命があることを悲しんだのかな?

あえて本音は聞かず、美しい水面にカヤックを浮かべ陽が暮れるまで自然を楽しみました。満足げな長男の顔に癒された一日でした。

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